Crohn病の診断基準改訂案(渡辺班,2011年)1)によると,臨床所見における消化管腸病変の特徴に“非連続性または区域性病変(skip lesion)”がある.
この概念は,潰瘍性大腸炎が連続性病変を特徴とし,両者を鑑別する際に重要な所見と考えられてきた.
しかし実際には鑑別能がそれほど高くないことが判明し,今日ではCrohn病診断基準からは外れることになった.
Crohn病においては,縦走潰瘍,敷石像,狭窄が正常粘膜を介し,非連続性に認められれば診断の参考所見となる.
通常,病変と病変が正常粘膜像(X線,内視鏡所見あるいは肉眼的に)を有する腸管を介して離れて存在する際にskip lesionと呼ばれる(Fig. 1).
この用語で問題になるのは,X線像または内視鏡像で病変間に介在している正常粘膜と判断した部位からgranulomaが検出されたとき,
切除標本で正常粘膜と思われる領域を詳細に検索した際にgranulomaの他に微小びらんや浅い瘢痕などが証明された場合である.
これらの部位を正常粘膜としてよいか,skip lesionの概念に当てはまるかについては明確な答えはない.
腸結核でも,skip lesionがみられることがしばしばある(Fig. 2).